『日本を愛した植民地 南洋パラオの真実』 | 清明
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『日本を愛した植民地 南洋パラオの真実』

 実は1週間以上入院しておりまして、その入院中に読んだ本です。入院前日に書店で見つけ、タイトル見て即買いしました。
 私は以前、ブログにも書いているように(「北のパラオになるように。」2012/8/8記)、祖母一家が昭和7年からパラオに住んでいました。そのため非常に日本統治時代のパラオには興味があり、調べ物で国会図書館に行った際に、ついでに調べたりしていたので、この手の本が新書で出たのはうれしいことでした。

 こういうタイトルの本は日本のよさばかりを誇張して書いて、悪い部分は書かないということもよくあるので、注意して読まなければなあと思いつつ読みましたが、そこまでの日本バンザイ的な書き方ではなかったように思います。途中まで読んだ母も、読みやすいと言っていました。それは、著者が史学畑の人ではないことも関係しているかと思います。
 ただ残念なところをあげるとすれば、現地の方々への聞き取り調査を始めたのが2000年からとだいぶ前であること、本書の記述を信じるならば、調査を始めた時、著者はあまり予備知識がなかったということです。調査を始めてから本になるまでだいぶかかっているので、本書に出てくる方にお話を聞きたくてもすでになくなっている可能性が高い(仮名になっているようですが……)のは残念ですし、ほぼ準備もなく聞き取りを始めたというのは、正直驚きでした。

 それと、この本は天皇皇后両陛下のパラオ訪問及び、その後の北原尾訪問後に出たので、それを意識して出されたのかと思いきや、それについてはまったく触れられていません。これにもびっくりでした。
 本書ではパラオから無事に引き揚げた日本人達が、「その人たちはまるで何事もなかったかのように、貝のごとく口を閉じてしまった」とありますが、決してそんなことはないと思います。北原尾地区の人達が作った記念誌は国会図書館にもありますし、ローカルながら昔テレビ番組で特集されて、親戚が出た記憶もあります。北原尾は昔から研究対象となっているようで、叔父によると2、3年に1回ぐらいのペースで研究者の方が訪れるそうです(研究助成金などの都合でしょうか 笑)実際論文などもあります。
 著者は経歴からして海外在住のようですが、天皇皇后両陛下のパラオ訪問などは、あえてスルーしたのでしょうか。また、比較的最近出た日本語の文献を調査する暇はなかったのでしょうか。

 と、まずは残念に思ったり疑問に思ったところを先にあげましたが、この本は日本の南洋統治について概要をつかむには、とてもよかったです。個人的には、祖母から聞いた話と一致する部分が多くあり、かつ教育や産業、暮らしぶりについてなどもしっかり書いてあったので、今後調べていこうとする上での足がかりになりました(ただ、欲を言うと参考文献一覧は欲しかったかな……)

 これは台湾などにも言えることですが、日本は植民地(本書でも断っていますが、パラオを「植民地」というのは正確ではありません)としてのパラオから搾り取るのではなく、同化政策を取り、まずはインフラ整備などをガンガンやっています。それがお互いにとって幸せなことに(当然反発もあったようですが)うまくいき、現地に住んだ日本人にとってもパラオの人々にとっても、非常にいい思い出として残った。そのため、今でもパラオはとても親日的です。
 とは言え、私もパラオから現地の人々を日本に招待してあちこち見学させたり、優秀な人材は日本に留学させるといったことまでやっていたことは知らなかったので、そこまでやったのか! と思いました(笑)

 いろいろと書きましたが、この本は、戦後アメリカの援助を受けるようになった時代のことも書かれており、日本統治時代だけではなく、ここ100年ぐらいのパラオについてまず入門的に知るには、よい本じゃないかと思います。




 長らく使ってなかったせいで、Amazonへのリンク貼ると書影も表示される機能がとっくになくなってたのを知らなくて、すごく焦りました……(苦笑)
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